皇帝が古くから研究している事象に、「お茶漬け問題」と「携帯問題」があります。
前者は、「お茶漬け」という食い物が、あくまで「漬け」ということにしか触れておらず、いったい何を漬けているのかを明らかにしていないこと。(しかも実際にはお茶じゃなくて出汁に漬けていたりもするが、話が複雑になるのでこの件は割愛)
後者は、「携帯電話」を略して「携帯」と呼ぶ行為です。携帯というのは、あくまでその形態を表しているだけであり、どうしても略したいなら「電話」であろうに、なぜか「携帯」。携帯トイレや携帯灰皿は、略せばトイレや灰皿になるだろうに。
特に、後者による日本語の乱れは目に余るものがあります。
「カスタマーサポートセンター」のことを、「カスタマー」と略す愚か者がいます。
「カスタマーに連絡したが対応が悪かった」みたいなことが、アマゾンレビューに書かれていたりします。
カスタマーすなわち顧客。顧客から顧客に連絡しても対応が悪いに決まっています。
同様な問題として、「ウイルス問題」もあげられます。
「コンピュータウイルス対策ソフトウェア」のことを、ワクチンソフトだとかセキュリティソフトだとか言ったりしますが、あろうことか、「ウイルスソフト」と呼ぶやつがいます。本来防疫のためにあるべきソフトウェアが、攻撃側に転じてしまっているではありませんか。
カスタマーと同様な問題が、ここでも起きています。
「ワクチン」という言葉は、いまのところ略されていないようですが、気を許せば「ワク」とか「ワチ」とか「チン」などと略されかねません。
略されてしまったとしても、元の言葉が十分に残って、本来の意味が通じるようにするためには、どうすればいいのか。
そう、略される前に、十分な言葉の量を設けておけばいいのです。
そういうわけで、ワクチンは本日から「ワクワクチンチン」と命名します。血迷った省略馬鹿の毒牙にかかったとしても、「ワクチン」として成立します。
万に一つ、「ワクワク」や「チンチン」と略されたとしても、「ワクワク1億回分確保」とか「チンチン接種の予約」などの報道が流れることで、この殺伐とした世界に一服の清涼剤がもたらされるでしょう。清涼剤って何か知らないけど。